中1での平面図形の中でも、
メインの1つとなる「作図」。
作図自体はそれほど問題ない
という人も多いかもしれませんが、
少しでも分かりやすく、
さらに、+αとして、
その作図ですることになる仕組みや、
発展的な内容も一緒に押さえておくと、
中2で学習する「合同」や、
高校へつながる「五心」の基礎ともなります。
今回は、外心・内心にまで触れ、
作図をするメリットと、その応用例まで触れてみたいと思います。
流れとして、
作図の基本
⇒作図ができる理由(仕組み)
⇒外心・内心
と、それぞれのレベルに応じて、
知識を身に着けるよう心がけてみましょう。
私が学校で実際に授業をした際にも、
上のように、レベル分けをして、
自分が身に着けれられる範囲をどんどん身に着けていこうと、
話をして授業をしていました。
…もちろん、生徒は知的好奇心旺盛ですので、
話は最後までちゃんと聞いてくれたのが嬉しいことです。
それでは、始めていきましょう。
垂線の引き方
作図の仕方
点Pから直線lに垂直な線(垂線)をひきなさい。
教科書などでは2種類紹介されています。
(その1)
① 直線上に1点を取り、点Pを通るように円をかく
② 直線上にもう1点を取り、点Pを通るように円をかく
③ 円の交点どうしを結ぶ
はい、亀きち流にリズムよくいきます
① 点Aを取ってくるん
② 点Bを取ってくるん
③ 2点を結んでさくっ
(知っている人は
「ピタゴラスイッチの『こんなことできません』
をイメージしてみてください(笑) )
(その2)
① 点Pを中心として直線に交わる円をかき、交点をA,Bとする
② A,Bを中心として等しい半径の円をかき、その交点の一つをCとする
③ 直線PCを引く
これも、リズムよく
① 点Pを中心にくるりん
② 点Aからくるっ 点Bからくるっ
③ PCを結んでさくっ
その作図となる理由
(その1)
・三角形ABPと三角形ABQは線対称
・「線対称な図形において、対応する点を結ぶ線分は、対称軸によって垂直に二等分される」という性質を使っているため
(その2)
・三角形APCと三角形BPCは線対称
・あとは同じ
垂直二等分線の引き方
線分ABの垂直二等分線の引き方です。
名前は難しそうに聞こえますが、
線分があって、それを「垂直二等分、真っ二つ切り」(妖怪ウォッチ「ブシニャン風」)という、
なかなか爽快な作図です。
しかも、超簡単。
作図の仕方
線分ABの垂直二等分線を作図しなさい
① 点A,Bを中心として等しい半径の円をかき、その交点をC,Dとする
② 直線CDをひく。
はい、リズムよく!
① 点Aからくるりん 点Bからくるりん
② 交点どうしをさくっ
その作図となる理由
四角形ABCDはひし形なので、
「対角線どうしはそれぞれ垂直に二等分される」
ひし形の図形の利用ですね。
この図形から、
中2で行う二等辺三角形の性質にも結び付けることができます。
もう一歩踏み込みます
「垂直二等分線は、点A,Bから距離の等しい点の集合」
という説明も加えたいところです。
角の二等分線の引き方
続いて、角の二等分線です。
どんな角でも、二等分する線が引けてしまうという魔法のような話。
本当に簡単にできてしまうんです。
作図の仕方
次の∠AOBの二等分線を作図しなさい
① 角の頂点Oを中心とする円をかき、角の2辺との交点をC,Dとする。
② C,Dを中心として等しい半径の円をかき、その交点をEとする。
③ 半直線OEをひく。
こちらもリズムよく!
① 角の頂点からくるん
② 交点からくるっ もう一方の交点からくるっ
③ Oと交点をさくっ
その作図となる理由
三角形OCEと三角形ODEは線対称
線対称なので折り曲げたことを考えると、OEは∠AOBを二等分する
ここも一歩踏み込みます
「角の二等分線は、直線OAと直線OBから等しい点の集合」
をきちんと触れたいところです。
角の二等分線は対称軸なので、
対称軸の点から直線OA、直線OBまでの距離は等しいことになります。
余談ですが、
「角の三等分線」は作図ではかけない
ということが「古代ギリシャの難問」として取り上げられています。
興味のある人、知識を伝えたい人はぜひ取り上げてみてください。
発展的内容 ここで学習すれば身につきやすい
外心(外接円の中心)
外心の求め方
三角形ABCをかいて、その2つの線分の垂直二等分をひく
(すべての線分の垂直二等分線を引いてもいいが、必ず1点で交わる)
垂直二等分線の交点 ⇒ 三角形の頂点ABCすべてからの距離が等しい点
(「垂直二等分線は、点A,Bから距離の等しい点の集合」を使ってます)
これを例えるなら、
亀きち、うさ吉、もぐ吉の3人のおうちがあります。
「どこで待ち合わせしようか」
「3人のおうちから一緒の距離のところがいい」
じゃ、そこにしよう。
⇒ 3人のおうちを線で結ぶと三角形になるから、
3つの頂点から等しい距離にある点が求める点(外心)だね。
当然、坂道は?ほかのおうちはないの?
というツッコミは受けます(笑)
内心(内接円の中心)
内心の求め方
三角形ABCをかいて、その2つの角の二等分線をひく
(すべての角の二等分線を引いてもいいが、必ず1点で交わる)
角の二等分線の交点 ⇒ 3線分AB,BC,CAからの距離が等しい点
(「角の二等分線は、直線OAと直線OBから等しい点の集合」を使ってます)
これを例えるなら、
亀きち、うさ吉、もぐ吉の3人が、
それぞれから的当てをしようと話し合っています。
「3人それぞれの線からボールを投げて、的当てをしようよ」
「みんなが公平になるところに的を置こうよ」
「そうだね、それだとみんな公平に遊べるもんね」
じゃ、そこにしよう
⇒ 3人の線を伸ばすと三角形ができるので、
3辺から等しい距離人ある点が求める点(内心)だね。
外心、内心は仲良し3人組の友情の例えとして話をします。
そうすると、ちょっと身近になり結びつきやすいかなと考えています。
生徒の心の中にも負担が軽く入っていくのではないかと思います。
図形分野は例えをつくりやすいので、
その場に応じた分かりやすい例えを作っていきたいですね。
まとめ 作図魔術師+αの力を
3種類の作図はいかがでしたか?
作図自体はそれほど難しくないと思いますが、
その成り立ちやそ、こから発展していく形を、
まずはイメージだけでいいので持っておきましょう。
先の学年に進んだ時に、すぐに思い出すことがでるようになるので、
勉強がぐっと楽になりますよ。
この部分を教える先生方も、
ぜひ、理屈の部分もきちんと説明してあげるとよいと考えます。
生徒に、作図ができて遊べるというだけではなく、
「知的好奇心を満たすような仕掛けを」つくってほしいなと思います。
高校の図形にも発展させることのできる内容も多いですから。
図形は遊び心を満載に込めることができる分野ですね。
【試してみよう】
・垂線、垂直二等分線、角の二等分線の描き方をマスターしよう
・それぞれの作図をする理由、理屈をちょっと考えてみよう
・外心、内心を理解して、図のイメージを持ってみよう
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