2学期も始まり、宿題テストというものを実施している学校もあることと思います。
教える側としては、生徒の得点やその変動に目が行きがちですが、
それ以上に、
答案には生徒の心やその変化・考え方なども如実に表現されているものです。
今回は、生徒のみなさんが書いたテストの答案から見えること、
生徒の心理などに踏み込みながら、私の思いを記載していきます。
教科指導や生徒指導の際に、ご参考にしていただければ幸いです。
解答から生徒の考え方が読み取れる
記述式の答案からは、生徒の考え方が読み取れる、
このことは、教員の皆さんならよくご存じですよね。
・ ここまでは理解できている、
・ この先は理解できていない
・ 最初の計算でつまづいたから、あとの点数が伸びていない
・ 考え方は合っている
・ 偶然に解答だけ合わしてきている
・ …勘!?(笑)
など……
さらに踏み込んで言えば、
解答のみを書く問題でさえも、生徒の考え方を理解することは可能です。
数字だけの解答からでも、生徒の気持ちや考えは見えてくるものです。
例えば、
・間違いやすい問題に引っかかった
・計算ミスが多い
・問題そのものが理解できていない
実際の得点だけではなく、
そこに至るまでの考え方や、道筋の立て方があっているのか……
気になるところはあれば、積極的に控えておいて、
このテストでは点数が出なかったとしても、
次のテストや、何か面談や話がする機会があれば、
褒める材料として使ってみてはいかがでしょうか。
テストでの点数よりも、先生(親)からの褒めてもらう一言。
こちらの方が子どもにとって印象に残りますよ。
もちろん、プラスの意味で。
積極的に答案から、「いいところ」を見つけるようにしましょう。
文字の書き方から、気持ちがわかる?
次に生徒の書く「文字」から読み取れることです。
記述式ではなく、答えのみを書くような問題でも、
書いた本人の気持ちや考え方を読み取ることができます。
休み明けのテストの場合、特に次のような変化がある子どもには注意が必要です。
① 文字が乱れている
② 文字の大きさが急激に小さくなっている
③ 解答が白紙に近い
④ 答案用紙が極端に汚れたり、ゆがんだりしている
文字の変化は心の変化を表します。
① 乱れている場合は、夏休みの間に鬱積したものがあって、爆発させたい
② 小さくなっている場合は、逆に閉じこもってしまい、自信がなくなっている
③ 白紙ならば、勉強が全くできていない(そういう環境になってしまった)
④ 汚れたりゆがんだりしてれば、勉強そのものにやる気が向かなくなっている
このような変化を気に留めながら解答を見てみると、
実際の点数や考え方だけでなく、気持ちの面からも子どもの変化に気づけます。
変化に気づけば、担任と連携をとったり、
教科での面談や提出物の返却の際に、コメントを書ける手掛かりとなります。
2学期最初はこのような変化が多く現れるものです。
生徒を前向きにするために(実践例より)
私個人のことですが、少しお話を。
夏休み明けの宿題考査で、点数が極端に下がり、字が小さくなった生徒がいました。
その後の日々の課題の提出も、依然と比べて芳しくなく、
よくよく生徒を見ていると、表情もどこか無理をしているような感じ。
なので、ある日の授業後、その生徒にこう話しかけました。
「毎日の宿題、しんどかったら無理しなくていいからね」
数週間後、生徒からの定例のノート提出の際、
このような記述が……
「あのときは、声をかけてくださってありがとうございます。
家庭内でごたごたがあって、勉強をする気が起きませんでした。
気づいてくださったのは、先生だけでした。
宿題はこれから少しずつ取り返していきます。
ありがとうございました」
それからは、徐々に表情も明るくなり、
授業や宿題にも、少しずつ積極的に取り組んでくれるようになりました。
個人的には忘れられない生徒の1人です。
数学という教科からですが、
生徒の心をいたわることができたということで、
私自身も嬉しくなる出来事でした。
2学期、スタートしましたね。
みんなの心が前向きに楽しくなれるよう、
答案からも変化を読み取れるよう、アンテナを張ってみましょうね。